東北大学病院 小児外科

研究実績

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研究のあらまし

東北大学小児外科教室の歴史は東北大学医学部第二外科(当時)の桂重次教授の時代(1941-63)にまでさかのぼり、このときわが国最初の小児外科診療研究グループ作られました。その後を継いだ葛西森夫教授は、日本に小児外科学の創生を導いた一人で、とくに胆道閉鎖症の外科治療(葛西手術)の開発は世界に冠たる仕事として外科学の歴史に長く名をとどめております。1983年に小児外科診療科が誕生し,1990年に講座昇格となりました.初代教授を大井龍司教授が,第二代教授を林富教授が務められ,仁尾が三代目ということになります。以下に当教室の過去から現在にいたる臨床と研究のあらましをお示しします。

胆道閉鎖症

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小児外科教室では葛西手術の開発以来、半世紀にわたり胆道閉鎖症の病因、病態、外科治療、術後療法など、あらゆる面で幅広く研究を重ね、この領域で世界をリードしてきたという経緯があります。本疾患の病因・病態はいまだ謎が多く、その解明が大きなテーマです。また世界最年長例を含む多くの自己肝での長期生存例の治療実績を有しており、これらの経験に基づいて、より適切な管理法・治療法を模索し続けております。また、長年にわたって日本胆道閉鎖症研究会事務局および胆道閉鎖症全国登録事務局を担当し、全国に向けて常に新しい情報を発信し続けて現在にいたっております。

胆道閉鎖症の肝内胆管のアポトーシスについての検討
胆道閉鎖症の肝内胆管のアポトーシスについての検討

小腸移植

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冒頭の葛西による「わが国最初の小児外科診療研究グループ」が取り組んだ研究テーマが乳幼児の輸液でした。当教室はその伝統を受け継ぎ、新生児・小児の代謝・栄養を大きなテーマとしてきました。これが現在の教室の中心的プロジェクトのひとつ小腸移植につながります。小腸はかつて移植の不可能な臓器と考えられていましたが、近年欧米を中心に数多くの小腸移植が行われるようになり、小腸不全症の標準的治療の地位を固めつつあります。わが国における小腸移植は、現時点では、ごく少数の施設でしか行われていない特殊な診療という位置づけですが、当教室では東北大学移植外科および日本全国の専門家と協力体制を築いて積極的に行っており、小腸移植のひとつの拠点施設となっております。またこれと並行して、小腸不全患者の小腸リハビリテーションプログラムを導入し、患者さんの自己小腸の機能を可及的に温存し、小腸移植を免れる例をいかに増やすかについても検討しています。

新生児外科

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先天性食道閉鎖症、ヒルシュスプルング病、直腸肛門奇形、腹壁異常、横隔膜疾患といった多くの新生児外科的疾患の治療は私どもがもっとも得意とするところですが、多くの先天性疾患は初期治療に加えて長期的管理がきわめて重要であり、これらが機能的予後を大きく左右します。多面的な機能評価を重ね、より理想的な術式や管理法を開発すべく取り組んでおります。

小児がん・小児腫瘍

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小児外科のもっとも重要な研究・診療領域のひとつに小児がんがあります。この分野でも葛西外科以来の長年にわたる診療および研究実績を誇っています。生物学的悪性度を指標として、集学的治療の一環としての外科治療のありかた、長期的なQOLを重視した治療法の選択などについての検討が当面の課題と考えています。また悪性腫瘍以外にも、難治性で治療の困難な血管腫やリンパ管腫などに対する臨床研究実績を蓄積しています。

小児内視鏡手術

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小児内視鏡手術・低侵襲治療が最近大きな話題となっておりますが、当教室では他施設に先駆けてこれに取り組んできました。手術の基本コンセプトを重視し、高い根治性と安全性を両立した手術をいかに低侵襲に行うかを検討しています。

小児内視鏡手術

小児心理

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さらに近年では、重症な小児外科疾患の患者と家族の精神的サポートの必要性に着目し、他の専門分野の研究者と連携して、こころと身体の両面からきめ細かなケアを提供できるよう研究を進めています。

かつて自分が関わった患者さんが、元気に成長して幸せになった姿に接することができたとき、小児外科医は無上の喜びを感じます。小児外科での日々の診療・研究生活は必ずしも楽しいことばかりではなく、むしろ障害の連続といっていいかもしれません。しかしその一つ一つを乗り越えられたときの喜びは何物にも代え難く、その先にあるこどもたちの笑顔が自分たちの最大の報酬であり、大きな誇りです。今日手術した赤ちゃんが成長したころには、自分はもうこの世にいないかもしれないけれど、そんな先のことを想像するだけで手術の疲れなどは吹き飛んでしまうのです。

業績

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主な論文発表2009年
論文表題著者雑誌名
Problems in Long-Term Survivors with Biliary AtresiaMasaki NioBiliary Atresia
小児外科疾患術後患者の長期予後−成人期における諸問題−5.胆道閉鎖症仁尾正記日本外科学会雑誌
私の噴門形成術仁尾正記小児外科
声門下腔狭窄症に対する extramucosal anterior cricoid split仁尾正記小児外科
胆道閉鎖症 過去から未来へ仁尾正記東北医学会雑誌
胆道閉鎖症仁尾正記消化器疾患・最新の治療
鼠径ヘルニア仁尾正記小児救急アトラス
5.小児腸管不全の治療と在宅中心静脈栄養(ドクターの視点)和田 基Neonatal Care
小腸移植の遠隔成績和田 基移植〈日本移植学会雑誌〉
臓器移植の現状 脳死・生体小腸移植和田 基移植〈日本移植学会雑誌〉
小腸移植はどうして拒絶反応をきたしやすいの?和田 基小児外科
A Retrospective Study for Long-Term Survivors with Biliary Atresia Associated with Recurrent JaundiceHidyuki SasakiBiliary Atresia
【小児の症候群】循環器 hepatopulmonary 症候群佐々木英之小児科診療
小腸壁内血腫風間理郎消化管症候群(第2版)
ココからはじめる小児がん看護風間理郎小児がん看護
交通外傷による気管支完全断裂西功太郎小児外科
腹腔鏡下核出術を施行した被膜を持たない膵 solid-pseudopapillary tumor の1例工藤博典日本小児外科学会雑誌